関係IV
今の会社に入ってからまだ4ヶ月しか経っていないのか。
実の所、この業界に入ってあれがしたい、これがしたいなどという明確な目標、野望などといったものは無い。
そりゃ、誰しも独立して自分の店を構えたいという気持ちはあるだろうし、自分も少なからずそう思っていた。しかし一度足を踏み入れれば考えを改めざるを得ないだろう。
日本の市場は小さく、その小さいパイを奪い合っているので、生き残っている人達は化け物だらけだ。
この業界で食おうと思えば逆に食われるのがオチ。
この業界の主役はあくまでアーティストであり、我々は裏方である。映画で言えばカメラマンBとか舞台設営Cみたいな所。運が良くてもエキストラ止まり、高速で流れるスタッフロールに名前が一瞬見えるかどうかという具合。
最近どうよ、と聞かれればぼちぼちやっているとも言えるし、そうでも無いとも言える。
フィジカルにもメンタル的にもキツいと言えばキツいが、好きな事をやっている以上特に文句はない。
"仕事"をしているという気はあまりない。かといって(毎日しばかれてるが)自分なりに真剣に取り組んでおり、遊んでいる訳でもない。
一般の人、というと語弊があるかもしれないが、多くの人は務め人で、金銭、趣味、諸々それなりのレンジに収まって生活しているのだと思う。
多少はレンジを超えた、気の触れた人達がいなければ世の中面白くないだろう。
アイドルだって、芸能人だって、ミュージシャンだってプライベートなんてあってないようなものでしょう。常に仕事というか、ある種の生き様のようなもの。
ディズニーランドが「今日祝日なんで休みます」なんて言えば白けるでしょう。
アートも同様で、生き様としてアーティストを選んだ人達と関わるのだから、僕も心してかかりたい。